民謡研究家・久保けんおの仕事について
梁川英俊(鹿児島大学法文学部)
2025年4月21日(月)16時30分 鹿児島大学 郡元キャンパス 総合教育研究棟5階
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[要旨]
久保けんおは、1940年代から民謡採集を行い、『南日本民謡曲集』『南日本わらべうた風土記』等の著作により南九州の音楽文化に大きな貢献を残した在野の民謡研究家である。その活動は詩人、劇作家、教育者、作曲家、編曲家、音楽史家と多岐にわたる。
発表者は2020年以来、作曲家の原田敬子氏(東京音楽大学)とともに、喜界町中央公民館に保管されている久保の未発表資料集を調査・研究し、その成果を2024年3月に刊行された鹿児島大学島嶼研ブックレットNo.24『南日本の民謡を追って―久保けんおの仕事』にまとめた。また、昨年および一昨年の鹿児島大学法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターのプロジェクトの一環として、長年鹿児島県立図書館に保管されていた久保の録音資料の一部をデジタル化した。本発表では、以上のような調査によって見えてきた久保の活動の一端を紹介する。
図1.鹿児島大学島嶼研ブックレットNo.24『南日本の民謡を追って―久保けんおの仕事』
鹿児島県島嶼の野生ユリ
宮本旬子(鹿児島大学大学院理工学研究科)
橋口浩志(鹿児島大学大学院農林水産学研究科)
2025年3月10日(月)16時30分 鹿児島大学 郡元キャンパス 総合教育研究棟5階
[要旨]
ユリ科ユリ属は世界に約115種あり、日本産の種は、クルマユリ、ヒメユリ、スカシユリ、エゾスカシユリ、ヤマユリ、カノコユリ、オニユリ、コオニユリ、ノヒメユリ、ササユリ、ヒメサユリ、ウケユリ、タモトユリ、テッポウユリ、およびタケシマユリであるとされている。鹿児島県内では、ヤマユリ、カノコユリ、オニユリ、コオニユリ、ノヒメユリ、ウケユリ、タモトユリ、テッポウユリ、タカサゴユリおよびシンテッポウユリ等の栽培品種の採取記録がある。ヤマユリやシンテッポウユリ等は栽培下からの逸出と考えられ、タカサゴユリは台湾産の外来種である。タモトユリは口之島固有、ウケユリは奄美大島~徳之島固有、狭義カノコユリは甑島を含む九州固有で、環境省や鹿児島県のレッドデータブックに掲載されていて保護対象となっている。前半では、宮本が、主に1990年代より実施してきた、タモトユリ、ウケユリ、カノコユリ、およびタカサゴユリ等の生育地調査と遺伝的解析の概要を紹介する。後半では、橋口が、甑島列島および九州島南西部に自生するカノコユリ個体群についての最新の知見を紹介する。
多様な歴史資料から考える沖永良部の近現代
伴野文亮(鹿児島大学法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センター)
2025年1月20日(月)16時30分 鹿児島大学 郡元キャンパス 総合教育研究棟5階
[要旨]
本報告は、沖永良部島の近現代史の叙述について、多様な歴史資料を分析対象とすることで提示しうる新たな枠組みの可能性を試論するものである。
沖永良部島における歴史研究をめぐっては、近年各方面で新たな展開が隆起している。例えば、和泊町では町制施行80周年記念事業として2021(令和3)年度から新しい町誌を作るための「和泊町の歩み編さん事業」が始まり、2024(令和6)年5月に『和泊町の歩み』が刊行された。また、知名町でも町制施行80周年を記念する事業の一環として2024年度から新町誌編纂事業がスタートし、2026(令和8)年度までに新町誌が制作される予定である。知名町ではさらに、鹿児島大学法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターと連携して、故弓削政己氏が遺した膨大な文献資料を今後数年間かけて整理・公開していく計画が進行中である。このほかにも、沖永良部島出身者が日露戦争に従軍した際に認めた日記を分析した平井一臣氏による研究など、同島の歴史研究は活況を呈している。
以上のように、近年の沖永良部において歴史研究が進展しているさなかにあって、今後どの様な点に留意して同島の歴史研究、とりわけ近現代史像の深化を試みていくべきか。本報告では、同島に遺る多様な歴史資料を分析対象とすることでうかがえる、沖永良部の近現代史像をより豊かに掘り起こす可能性を考えてみたい。