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国際島嶼教育研究センター特別研究会
日時:2020年1月14日(火)16時30分〜
場所:総合教育研究棟5階 国際島嶼教育研究センター会議室
「父親になるか、ならないか:霊長類の複雄群におけるオスの繁殖の偏り」
Antje Engelhardt(リバプール・ジョン・ムーア大学生物学・環境科学研究科)
[要旨]
血縁選択は社会関係において強い選択圧となる。したがって、同じグループの個体間における血縁度はグループの社会生活にとって重要な意義がある。また、グループあるいは個体群の遺伝構造は保全の観点からも重要であり、近親交配は個体群の存続可能性を損なう。母系社会では、遺伝的多様性は主にオスの移籍パタンや繁殖成績によって決まる。複雄群で暮らす霊長類の場合、それぞれのオスがどれほど繁殖の機会を獲得し、それによって遺伝子プールに自身の遺伝子を残すかは、種によって実に多様である。このようなオスにおける繁殖の偏りの違いについて、その理由は未だに明らかでない。さらに霊長類において特徴的な点は、メスにおいて生殖に結びつかない交尾や性的シグナルの有無が多様であるということである。これらの形質は、霊長類におけるオス個体の繁殖成功に重要な役割をもつと考えられる。我々は、メスにおける性的シグナルの発現や機能、およびオスにおける繁殖の偏りに変異をもたらす潜在要因について、多くのマカク属種の比較研究を行ってきた。講演では、我々の研究成果について紹介する。
アカゲザル(Macaca mulatta)メスの性的シグナル(左下)とクロザル(Macaca nigra)オスにおける犬歯の大型化。これらの形質はオスの繁殖成功に影響し、繁殖の偏りがみられる複雄群で進化したと考えられる
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