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国際島嶼教育研究センター第239回研究会 2024年6月24日(月)16時30分 総合教育研究棟5階
ある島人の日露戦争体験-大納宮継『征露日記』を中心に-
平井一臣(鹿児島大学法文学部客員教授)
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[要旨] 2021年、沖永良部島の住民・大納宮継(おおの みやつぐ)が書き残した『征露日記』の所在が明らかにされました。宮継のひ孫にあたる大納忠人(ただひと)氏により知名町立図書館に寄贈されたものです。1904年(明治37年)2月5日から始まる日記には、中断をはさみながら、翌年6月10日までの記載があります。
日露戦争に従軍した将兵の日記類は、私家版も含めるとかなりの数が確認できると言われています。また、日記を素材にした研究もすでにいくつか発表されています。大納日記は、そうした日露戦争時の日記類の一つですが、少なくとも以下のような特徴があると言えます。
①離島からの出征者の従軍経験が記されており、とくに沖永良部島を出発するまでの送迎の様子と奄美の島々を寄港し鹿児島市の第45聯隊入隊までの様子、さらに鹿児島から門司への移動について、興味深い記載がなされています。
②上陸した朝鮮半島での見聞(とくに釜山と仁川)や駐留地である元山での状況についての記載があります。日露戦争関連の日記類の多くは、主作戦地とされた満洲方面への出征者のものです。朝鮮半島の東側に位置する元山方面についての記録は貴重なものと言えます。
③病気による除隊とその後の経緯についての記載があり、軍事救護問題を考察する手掛かりを提供するものでもあります。
図1:「大納宮継「征露日記」表紙」
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