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国際島嶼教育研究センター第227回研究会 2023年2月6日(月)16時30分 総合教育研究棟5階
日本列島におけるバナナの栽培・利用の動向について
佐藤靖明(長崎大学多文化社会学部)
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[要旨] 従来、日本におけるバナナの生産は、主に亜熱帯に位置する南西諸島や小笠原諸島に限られていた。しかし近年、これまで不適とされた温帯の九州、四国、本州、北海道でも栽培が試みられており、全国的な変化の中にある。本発表ではこのことに注目し、日本列島でのバナナの栽培・利用の動向を概観する。 人類とバナナのかかわりをみると、熱帯・亜熱帯の各地で発達した在来的な農耕文化と、熱帯での大量生産と温帯・冷帯への大量流通・消費という2つが顕著である。そして現代では、病虫害の世界的な広がりや、フードマイレージ、生産者と消費者間の対等性といった問題が指摘されている。それらを考えたとき、日本での新たな動きは、南西諸島等も含めた日本人のバナナに対する価値観や、生産~消費の流れの変化を予見させるものといえる。 2018年までの国産バナナの新聞・雑誌記事から、九州以北のバナナの農園は大まかに以下の3種類に分類された。一つ目は、消費者への販売を中心とした経営をおこなう農園(販売特化型)、二つ目は、収穫イベントや植物体のオーナー制度など、体験活動の方を中心に据えた経営をおこなう農園(体験重視型)、そして三つめは、個人的な趣味の延長線上でバナナを小規模に栽培しており、贈答や、まれに販売がなされる農園(趣味+α型)である。2018年以降は、さらに多様な栽培・活用の方法がみられ、生産者間での情報交換も活発化している。その一方で、バナナの植物としての特性や、個人的なネットワークに依拠して広まってきた経緯もあり、生産者にとって品種の同定が難しいといった状況も生まれている。

図1:鹿児島県でのバナナの温室栽培
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