国際島嶼教育研究センター
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島嶼学概論I(島嶼学教育コース・コア科目)
講義内容

講義内容  ・三島村硫黄島講義(2011年7月9日〜10日)

はじめに
 近年の学問の学際化・融合化により、幅広い分野の知識と柔軟な思考能力をもつ人材が社会で求められています。この要請に応えるため、鹿児島大学は大学院 を横断して体系的に履修するプログラム「島嶼学教育コース」を平成22年度10月に創設しました。島嶼学教育コースの目的は、「南西諸島からアジア・太平 洋島嶼域に関する様々な分野の授業科目を履修することにより、島嶼地域の要請に応え、国際島嶼社会でも活躍できる人材育成を目指す」にあります。プログラムの所定の単位を修得した学生には、各研究科の修士の学位に加えて、「島嶼学教育コース」修了証を授与します。
 このプログラムを開始するにあたり、コア科目「島嶼学概論I:総合島嶼学」および「島嶼学概論II:島嶼自然環境学」が新設されました。東南アジア島嶼部を含む南太平洋多島域は、文化的、自然的に連なるスペクトラムです。この多島域は大小様々な島々からなり、自然環境は変化に富み、人々の生活ぶりはその 自然および歴史に根ざした感化環境と深く結びついています。日本も太平洋に面し、多くの島々からなる島国で、南太平洋多島域と自然的,文化的に深く結びついています。鹿児島県は長崎県に次いで島の数が多く(605島)、南北600kmに28の有人島が広がっています。離島面積と離島人口は全国第1位で、有 数の離島県でもあります。これらの離島は、温暖で豊かな自然環境、伝統文化、郷土料理など個性に満ちた島々です。島嶼学概論I・IIでは、これらの多島域 の環境や資源を理解し、科学的に深い洞察力を養うことを目指しています。


島嶼学概論Iの特色
 島嶼学概論I(総合島嶼学)では、日本から太平洋に至る島々に関して人々の生活と社会の特徴や島嶼域の振興策について講義を行うだけではなく、三島村硫黄島においても講義をおこないます。三島村は竹島・硫黄島および黒島の3島と無人の新硫黄島や数個の岩礁から成り立っています。硫黄島は、3島の中心に位置し、周囲14.5km、面積11.7km2、椿、つつじ、車輪梅の原生林や、道路まで放し飼いの孔雀が散歩する、のどかな風景が見られる島です。畜産と漁業を主な産業とし、温泉や名所旧跡など豊富な資源を生かした観光も 盛んな島です。三島村を多面的に捉える機会を提供します(授業内容・取り組みが毎日新聞に掲載されました→こちら)。



講義内容
1:島嶼環境衛生(野田伸一 担当)
 島嶼学概論I(総合島嶼学)のイントロダクションとして、島嶼域の理解の基本となる島の特性やその区分、さらに鹿児島県の離島の状況についても学び、島嶼地域が持つ多様な地域性を理解します。健康は多くの地域で重要な関心事項です。特に島嶼地域では若年層を中心に人口減少が進み、高齢化が進展しています。島の活性化と住民の健康増進を目的とした“健康の島”づくりが求められており、タラソテラピーなど自然環境や地域資源を活かした取り組みにつて学びます。近年、新興感染症や再興感染症が世界的に大きな問題となっています。蚊が媒介するデング熱やマラリアなどは島嶼地域でも公衆衛生分野の重要な問題で、ハワイで流行したデング熱を例にして、これらの感染症が地域社会に与える影響とその対策をについて学びます。

キーワード:島の特性、タラソテラピー、感染症

2:島の経営(長嶋俊介 担当)
 地域生活の営みを人文社会科学的方法で総合的にとらえる方法論について理解を深めます。 [島嶼研究方法論]では、島の特異性と島から学び島に還元する研究の姿勢と方法を学びます。先学の指摘と統計的捕捉の限界、悉皆的調査利益、比較研究の優位性等についてです。[島嶼経済・経営学]では、小規模経済のメリットデメリット、隔絶性利益と交易負担(多次元)、比較優位性開発、コガバナンス(共治)的主体の総合力発揮の意義等について学びます。[島嶼環境経営学]ではアイランドコンプレックス的現象、地域気象海況特質、里島=里山・里地・里海連続空間としての管理上の特質と管理利用上の留意点と方法等について学びます。[島嶼防災復興学]では島の成り立ちと関わる自然災害・人災類型に従った、リスク管理的総合的・個別的防災対策と生活の質的向上管理を踏まえた復興方法論について学びます。[島嶼地域おこし学]島の文化現象とその振興課題、離島町村制・町村合併等の地域行政の歴史的推移、国境摩擦禍による政治経済等の転換史、離島振興の歴史と方法論の推移、現在的離島苦としての多次元の過疎現象とその克服策、新海洋法のもとでの政策的方向性等について考えます。

キーワード:生活環境的総合性、優位性の開発、コガバナンス(共治)

3:三島村硫黄島における講義
 定期船を利用して1泊2日(7月9日〜10日予定)で現地調査学習を行います。
 [調査事前講義・準備] 地域資料(硫黄島は1集落1島であるので島単位データがそのまま調査に使える、またシマダスや三島村誌・町勢要覧等から抜粋したもの等)を配布して硫黄島概況についての総合学習を事前に行います。ホームページなどの得やすい情報は各自で準備する。この島は伝染病や医療面で特異な経験をしてきた場所でもあり、硫黄鉱山で栄えた歴史もある。自然面では天然記念物保存活動が近年活発であり、文化面でも国の無形文化財保存地区であり、小さな島における保存努力もなされている。近年ではアフリカ太鼓文化の交流的導入活動やヨットレース(三島カップ)受け入れ地として地域振興にも取り組んでいる。行政的にも島側に役場がない特殊な事情を抱えている。それらの事情の基本理解で、現地で学び調査する上での足元を固めます。各自の報告書は地元に還元するほか、ホームページ等での公開も予定しています。
 [現地調査および講義] 小さな島なので村役場の協力を得て島の主要個所を車と現地説明者随行で説明を受けつつ概観する。事前に、知りたい、あとでまとめたい内容についての質問事項などの準備が望ましい。訪問予定箇所希望(事前確認)も配慮する。
 [現地訪問及び現地説明] 飛行場・鹿児島市教育研修施設(元リゾート施設)・露天風呂所在地・産業遺産(鉱山跡地)・ジャンべスクール(宿泊予定地)・郷土歴史文化資料施設(俊寛堂・熊野神社展示資料・三島総合開発センター資料室)・三島小中学校・特産品加工施設(大名竹筍加工所)・牧場・観光施設(展望所)等です。
 [地元関係者レクチャー] 現地関係者の協力を得て、レクチャー並びに質疑応答できる場を設けます。 1・伝統文化継承などに関わる話 2. 産業史と現在の核になる産業である牧畜・漁業に関する話 3. 教育にかかわる取り組み 4ジャンべスクールや地域活性化に関わる話 5 その他(行政と関わるものについても対応できるように協力していただく予定です。)
 [各自自由行動調査] 出航までの時間を活用し、自由行動調査時間とします。

キーワード:地域理解、提言根拠、島嶼メリット





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