国際島嶼教育研究センター
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研究会などの記録 
1996年(南海研)

  • 3月4日(月)第84回南海研センター研究会
    地域発展の権利と生涯学習 ―タイ農民の自立的開発運動を中心にして―
    神田嘉延(鹿児島大学教育学部)
    16時30分 南海研会議室

    [要旨] 1986年の国連総会決議において、発展の権利に関する宣言がうちだされた。これは、新たな人権概念として、民族的、地域経済的な自決のための人権概念である。この人権概念は人間の発展を中心に地域住民の学習権と結合した地域経済の発展をも意味している。本報告は、地域発展の権利という視点からタイ東北農民の自立的開発運動を紹介するものである。タイ東北部では、先進国の大規模な開発輸入方式、生産性第一主義の近代効率主義の結果による農民の貧困化に対抗する新たな農民の自立的開発運動が起きている。それは、農民の伝統的な文化を大切にした人間の発展を含む持続的発展可能な開発である。

  • 3月5日(火)コロキウム
    第1回「ヌサンタラ海域世界の形成と発展」コロキウム
    深見純生(桃山学院大学文学部助教授)「ヌサンタラ海域世界の構造変化―12〜14世紀の漢籍から見る」
    福島弘恵(大阪外国語大学非常勤講師)「古典マレー世界の船」
    13時30分から17時まで 南海研会議室

    [趣旨] ヌサンタラ(Nusantara)は「島嶼部」を意味するマレー語で、今日のマレーシアやインドネシアを包含する海域世界を指す。この広大な海の世界を、紀元前後から今に至るまで、マレー人、ジャワ人、中国人、アラブ人、そして下ってはヨーロッパ人たちといった人々が往来し、モノやヒトや情報を運び、伝えてきた。ヌサンタラ海域世界はまさに東南アジアの歴史を支える海のネットワークと言うことができる。今回のコロキウムでは、深見氏に、これまで明らかにされてきた12〜14世紀の漢籍史料を整理して、この海域世界の形成と発展についての新しい見解を報告していただく一方、福島氏に、マレー語文献に記録された船の研究という視点から話題を提供していただく。

  • 3月12日(火)第85回南海研センター研究会
    東京大学アジア生物資源環境研究センターの目的と活動
    福代康夫(東京大学アジア生物資源環境研究センター)
    16時30分 南海研会議室

    [要旨] 東京大学アジア生物資源環境研究センターは、生物生産の持続的利用と環境保全の調和を図る国際共同研究を推進するために、学内共同利用施設として平成7年4月に設置された。生物的持続性を達成するには、環境を健全に保つと共に、正確な環境評価に基づき生態系の機能を理解する必要がある。また、アジア地域に多い荒廃した環境を修復するため、極限的環境に対する耐性を持つ生物を発見・開発する必要がある。センターにはこれらの研究を実施するために、生物環境評価大部門と生物資源開発大部門の2部門がある。

  • 4月22日(月)第86回南海研センター研究会
    21世紀の海づくり、餌づくり、魚づくり、人づくり―浅海養魚場の環境管理と保全について―
    門脇秀策(鹿児島大学水産学部)
    16時30分 南海研会議室

    [要旨]

  • 5月11日(土)第87回南海研センター研究会
    平成7年度特定研究の研究成果発表会

    平成7年度特定研究参加者による研究成果の発表
    13時30分から17時35分まで 南海研会議室
    プログラムを見る。
  • 6月24日(月) 第88回南海研センター研究会
    熱帯林の修復
    田川日出夫(鹿児島県立短期大学長)
    16時30分 南海研会議室

    [要旨] 熱帯林の減少が地球の温暖化問題と結び付いて議論になっているが、その修復についてはやっとその緒についた段階である。森林の修復については自然修復と人為修復の二通りがある。今回は自然修復を主とし、人為修復については問題点に触れる程度にしておきたい。自然修復は生態遷移として捕えることができ、一次遷移及び二次遷移の例として、クラカタウ島大爆発後の植生遷移の進み方、東カリマンタンの熱帯多雨林火災後の植生回復いついて述べる。これまで知られていない原生熱帯林焼失後の二次遷移過程(畑地放棄後の例は多く研究されている)で温帯と異なる過程があり、種子の散布形態と関係しているのではないかと思われる事例をも紹介したい。

  • 7月12日(金)第89回南海研センター研究会
    科学者にとって「和」とは?
    大本洋(東北大学大学院理学研究科教授・ペンシルヴァニア州立大学教授)
    15時00分 稲盛会館

    [要旨] 自然科学のみならず、全ての科学においての飛躍的な理論(仮説)は、「新たに得られたデータが、従来の定説では説明できないのではないか?」という疑問から生まれる。このような疑問が生まれ、また、その疑問を追求していくことは、「和」を最重要視する社会において果たして可能であろうか?科学者にとって、一般に考えられている「和」を越えたレベルでの「和」は存在するのであろうか?科学において、「社会のために」、「人類のために」と考えることは、なぜ重要であるのであろうか? 日本とアメリカの大学で学び、さらに両国の大学で教え、研究してきた過程におて、体験し、感じてきたことを話し、これらの問題について共に考えていきたい。

  • 8月3日(土)-8月4日(日) 南海研センター公開講座
    毎年夏休みに南海研センターが開催している、太平洋とその周辺地域の自然と文化をテーマにした一般市民のための公開講座です。
    8月3日(土)
    • 12:50-13:50 魚や貝の毒:井上晃男(鹿大南海研)
    • 14:00-15:30 日本と南海の地域間交流史:原口泉(鹿大法文学部)
    • 15:45-17:15 インターネットで仮想旅行・東南アジア編:青山亨(鹿大南海研)
    8月4日(日)
    • 9:30-10:30 フィリピンの稲作農民:西村知(鹿大教養部)
    • 10:40-11:40 黒潮と気候変動:市川洋(鹿大水産学部)
    • 12:50-14:20 アジアと南太平洋:Ron Crocombe(鹿大南海研)通訳あり.
    • 14:35-16:05 南太平洋の政治力学:高橋康昌(群馬大学情報学部)
    • 16:15-17:00 懇談会
    ポスターを見る。(GIF, 50K)
  • 9月30日(月)第90回南海研センター研究会
    青潮について
    二村義八朗(東大大学院農学生命科学研究科)
    16時30分 南海研会議室

    [要旨] 東京湾北部には、毎年晩夏から初秋にかけて時折海面の色が碧みかかった乳白色になる青潮とかシラッチオと呼ばれる現象がおきる。時間的にも、空間的にも大変小規模な現象で、土地の人以外は実際に目にする機会が余り多くない。底層にある貧酸素水の沿岸湧昇と同期して観測され、貧酸素水中のイオウイオンが酸化されたイオウコロイドによると考えられるが、未だ充分な証拠が得られているわけではない。底層に貧酸素水のある内湾は多いのに、我国では東京湾と三河湾(および田辺湾・明石沖で各1回)で見られるだけのようである。ここでは青潮の様子を紹介して、類似の現象が他の水域にもあるかどうか御教示を得たいと思う。

  • 10月28日(月)第91回南海研センター研究会
    Japan and the Pacific Islands: Possible and Probable Relations in the 21st Century
    Ron Crocombe(南海研客員研究員)
    16時30分 南海研会議室

    [要旨] The past 100 years are a significant factor shaping the next 100 or at least the next generation. But they are far from the only factor. How the potentials are handled depends to a large extent on the actions of people today. The main emphasis of the talk will be on how the positive elements in the relationship can be optimized and the negative minimized to the mutual benefit of both Japan and the Pacific Islands in the coming generation.

  • 11月25日(月)第92回南海研センター研究会
    鉢水母から見た環世界
    柿沼好子(鹿児島大学理学部)
    16時30分 南海研会議室

    [要旨] 鹿児島湾に出現する鉢水母は変動する水塊の中で世代交代を行い,柔軟性に富んだ多様な生活を営んでいる。これらの生物と環境の関わりについて発生,生理,生態,行動などの視点から検討した結果,鉢水母は桜島の降灰や人間活動による汚濁物を粘液でからめ取り,沈降させ,海域の環境浄化や物質循環を促進させる事が明らかになった。これらの営みは鉢水母類の持つ種特性による生活現象の機能的役割であり,生態的地位である。また,さらに環境変動に対する適応的生活戦術でもある。
    これまでの結果から,無価値で産業の発展に有害とされ除去されている生物群が,自然と人間活動の両面に極めて効果的な存在価として認識された。このことから,今後の自然保護のあり方や生物の生き様を追求する自然史,または生命史の研究の 必要性を問うものとして考えてみたい。

  • 12月6日(金)第93回南海研センター研究会
    東南アジア史学会第56回研究大会 特別公開講演会とジャワ古典舞踊の夕べ
    • 特別公開講演会
      石井米雄(上智大学教授)「鎖国時代の東南アジアと日本―『華夷変態』の世界」

      [要旨]「鎖国」という言葉は、江戸期の日本が、いかにも閉鎖的な世界であるかのような印象を与えがちである。しかし1639年の鎖国完成の後といえども、多い年には100隻をこえる唐船とオランダ船が長崎に入港し、外国の産物と情報を日本にもたらしていたという事実を忘れることはできない。中国沿岸と東南アジアの諸港を起帆地とするこれらの外国船は、「風説書」という形で外国の状況を日本の支配者たちに提供することをもとめられていた。唐通事を通じて唐船の乗員から得られた外国情報は、「唐船風説書」という名の報告書にまとめられ、長崎奉行から秘密裡に江戸幕府に上達されたという。『華夷変態』の表題のもとに編纂された「唐船風説書」は、現在、東京の皇居内にある内閣文庫に収められており、活字本が東洋文庫から3冊本として刊行されて一般に利用可能となった。
      長崎に入港した唐船はその起帆地によって、「口船」(江蘇、淅江)、「中奥船」(広東、福建)、「奥船」(東南アジア)の三種に分類された。このうち「奥船」の起帆地をみると、大陸部では東京、広南、占城、カンボジア、シャム、パタニ、ソンクラ、リゴールなど、島嶼部では、マラッカ、カラパ、バンテン、カラパ(バタビア)などが上げられる。唐船奥船の風説書にもられた海外情報は1674年から1728年に至る約50年間におよんでいる。その内容は中国に関するものが多いが、東南アジアについても、同時代の貴重な現地情報が数多く含まれている。『華夷変態』を東南アジア史研究に利用した先行研究には、陳荊和、永積昭、久光由美子氏らの業績があるが、今後さらに多くの研究者によって利用されることを期待するものである。

    • ジャワ古典舞踊の夕べ
      岡村さゆき・桑原香苗
      1.ガンビョン・パンクル(岡村)
      2.ゴレ・アユンアユン(桑原)
      3.ブクサン・スリカンディ・スロデワティ(岡村・桑原)
    18時45分から21時00分まで.開場18時30分.
    市民文化ホール(4階市民ホール) 鹿児島市与次郎2-3-1 電話 099-257-8111
    入場無料
    ポスターを見る.(GIF, 86K)




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