研究拠点形成事業-B.アジア・アフリカ学術基盤形成型-

アジア島嶼域における人と自然の「共生」に関する研究拠点形成


プロジェクトの概要

日本側拠点機関である鹿児島大学国際島嶼教育研究センターはアジア・太平洋の島嶼に関する学際研究を長年行なってきた世界的拠点の一つである。本センターでは平成27年度から生物と社会の多様性の高さが注目されている鹿児島県奄美群島において、多様性を研究するための教育研究拠点形成を目指したプロジェクトを推進してきた。これにより、生物と社会の多様性を研究する拠点の基盤を構築し、それを地域社会に還元するための各機関との関係を構築することができた。本プロジェクトでは、この成果と今まで本センターが培ってきた世界の島嶼にかかわるネットワークを発展させることで、亜熱帯から熱帯にかけての島嶼域における新たな国際ネットワークを構築し、若手研究者育成と学問的発展を目指す。本プロジェクトには島嶼を専門にする 4 教育研究機関が参加し、国内連携機関として地域自治体、地域研究者、国内外学会、国際ネットワークと連携し、以下の3つの目標の達成を目指す。

◆国際研究交流拠点

本拠点をもとに、地域の特徴を生かした研究と4地域で同じ方法による研究により亜熱帯から熱帯島嶼という広域での固有種と多様性の維持機構を解明し、地域に根差した自然に対する伝統知も考慮した保全策を提言する世界レベルの研究を行う。

◆若手研究者の育成

英語によるコニュニケーション能力をつけ、自ら問題を見つけ、対策を練り、実行を進めることができる能力を身に着けた次世代を担う若手を育成する。

◆学問的発展

4島嶼域の特徴と共通の概念をもとに、生物多様性を生物学的視点だけでなく島という地理的・物理的視点と人と自然の「共生」という自然・社会・経済的な多様な視点からとらえ、それらを融合した新たな学際的学問「島嶼学」を構築する。





研究交流計画

アジア島嶼共同研究中核拠点を形成することで以下の活動を行う。セミナーには若手研究者が参加し、各地域に適した研究方法を習得し、自国の研究に応用することで、交流と共同研究を進める。各国のデータを共有することで研究者間交流を行い、4大学が論文を共同で執筆する。また、交流の場として、各地域の研究者、自治体、国内外の他ネットワークとも連携する。成果はホームページ等で情報を発信する。

◆共同研究

奄美群島(日本)、サバ(マレーシア)、アンボン(インドネシア)、の 3 つの地域に生物多様性モニタリングサイトを設置し、地域特性に合った調査方法と 4 大学共通の調査方法を用い、比較研究をする。イロイロ(フィリピン)では各地域の人と自然の在り方と自然に関する伝統知を研究する。これらの結果を総合し、島嶼での持続的開発を目指した人と自然の「共生」の在り方を研究する。

◆セミナー

各年に4つの参加機関の1機関が中心にセミナーを企画し、他の3つの機関の若手研究者が、各自の研究成果を報告する。また、遠隔講義システムを使い、参加 4 機関及び世界の島嶼研究の専門家に講師として参加してもらい、世界の島嶼及び参加地域の現状と将来についての遠隔講義を開催する。

◆研究者交流

セミナーや共同研究を通して研究者交流を行う。また、交流の場として、各地域の研究者、自治体、国内外の別のネットワークとも連携する。本センターが中核機関の一つになっている東アジア海洋島嶼文化フォーラム(日本、台湾、中国、韓国の島嶼研究ネットワーク)、アイランドダイナミックス、Virtual Island Summit にも参加し、研究報告を行うと共に他分野の研究者との交流も行う。



活動