国際島嶼教育研究センター
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環礁域の環境変動
Environmental change in atoll region

環礁域の環境変動: 国際共同研究による拠点形成

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 地球温暖化は世界規模での大きな問題の一つになっている。これに伴うと考えられる異常気象は世界中で多発しており多くの命が奪われ、多くの自然環境が崩壊していることが報告されている。例えば、2005年は北半球ではハリケーン、台風などが多く発生し多くの人々の命を奪った。これらハリケーンの発生の大きな原因はこの夏の海水温の上昇に起因することが指摘されている。

 ある報告によると1900年以降で世界の平均気温は0.6度上昇し海水面も平均約20cm上昇したといわれている。そのような中、地球温暖化が最も大きくかつ早く影響を及ぼすと考えられるのが太平洋域に多く見られるような島嶼低島部(環礁域)である。環礁域は島の高さが数メートルのところが多く少しの海面上昇でも水没の危機に瀕する可能性が高い。すでに海面上昇に伴い陸地の減少が見られニュージーランドなどへ移住を強いられている地域もあり社会経済文化へ影響を及ぼしている。

 一方、地球温暖化に伴う環境変動は生物への影響も大きい。例えば海面上昇が起これば沿岸域に生息する生物の生息域への影響が考えられ、沿岸域生物多様性への影響が懸念される。温暖化に伴う水温の上昇がサンゴの白化を起こすことは広く知られていることである。また、気温が上昇すれば多くの生物の分布が変わることが考えられ、もし病原体を媒介する昆虫類の分布が広がれば人間への影響が懸念される。一方、農作物への影響も懸念される。農作物の成長は温度に大きく影響することが広く知られており、環境変動は農作物の生産性に大きく影響をすることが考えられる。

 現在まで温暖化に伴う環境変動に注目した研究は多くなされてきたが、環境変動と共に自然環境、社会経済そして文化への影響に関して調査した国際共同研究は少ない。本調査は最も影響を受けやすい環礁域に環境変動とその影響を長期的にモニターする拠点と世界レベルのネットワークを形成することを目的としている。この結果は今後の世界レベルでのこの問題に対してのコンセンサス形成と政策決定に大きく貢献すると考えられる。また、この研究は今後の環境変動に伴う島嶼域の持続的発展とその社会のアイデンティティー形成を考える上で一つのモデルケースと考えることができる。

本調査はミクロネシア連邦チュック州に見られる環礁域を対象に調査を行う。






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