ミクロネシア環礁域生態系における環境変動の影響を類型化するための定量的調査 |
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ミクロネシア環礁域生態系における環境変動の影響を類型化するための定量的調査
ミクロネシア連邦は赤道の北側に東西3千キロにわたって607の島々が点在する横長の巨大な島嶼世界である。
ミクロネシア連邦の人々にとって経済的に最も重要で関係の深いのがグアムである。
グアムの次に想定される都市は、各州の州都、即ち、コロニア(ヤップ州)、ウェノ(チューク州)、パリキール(ポンペイ州)である。グアムからの距離と各州都からの距離によって、経済や社会、文化面においてグローバル化の影響の度合いが違うことが考えられる。
この時グアムを中心、そしてミクロネシア連邦を周辺と仮定し考えることができる。一般に「中心-周辺」論の考えでは、中心に近い位置にあればあるほど中心の影響を強く受け、中心から遠ざかるほど中心の影響が小さくなる(ウォーラーステイン1981,山口1977)。
これをグアムとミクロネシア連邦の間の関係に置き換えると、中心であるグアムに近いヤップ州などはグアムの影響を強く受け、グアムから最も遠いコスラエ州がその影響が最も小さいという仮説が成り立つ。この「中心−周辺」関係は同じ州内でも成立しうる。
即ち、州都のある島に近い島ほどグローバリゼーションの影響を強く受け、遠ざかるに従って弱まると考えられる。
一方、温暖化の影響は温暖化に伴うサイクロンの発生など地域的な点もあるが、環礁のそれぞれの島で起こる現象は比較的傾向が似ていると仮定することができる。
本研究ではミクロネシアの環礁域の中心から近いヤップ州(ヤップ島とウリシー環礁)、遠いポンペイ州(ポンペイ島とモキール環礁)の島嶼群を対象にし以下のことを目的にしている。
1) 島々において自然環境と社会経済システムにおいて地球温暖化とグローバリゼーションに影響を受けやすい項目に絞りそれぞれの影響の度合いを数値化する、
2) 各項目の数値を用い環境変動が島々の自然環境、社会経済システム、島全体(自然環境+社会経済システム)に与える影響を多変量解析により類型化しモデル化を試みる、
3) 最後に、グローバリゼーションにおいて「中心−周辺」という仮説を検証し、地球温暖化が環礁域の自然環境に与える影響について評価する。
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