鹿児島大学
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国際島嶼教育研究センター
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研究会などの記録
2023年(島嶼研)
国際島嶼教育研究センター第226回研究会
2023年1月16日(月)16時30分 総合教育研究棟5階
医食同源―薩摩黒膳から人参養栄湯研究まで
乾 明夫(鹿児島大学大学院漢方薬理学共同研究講座)
[要旨]
鹿児島大学食と健康プロジェクトは、鹿児島の豊かな食品の機能性を解析することで、食を通じた生活習慣病やフレイル(杖の必要な状態)予防など、健康長寿に寄与することを目的としている(医食同源)。
その一つが黒膳プロジェクトであり、アントシアニンを多く含んだ黒米・黒野菜を取り入れた「薩摩黒膳弁当」は、2019年全国スーパーマーケット協会お弁当・お惣菜大賞の弁当部門で、優秀賞(第2位)の栄誉に輝いた(城山ストアー販売)。またもう一つの黒糖焼酎・芋焼酎プロジェクトでは、抗メタボ作用を有する機能性成分の同定や、老化を抑え健康長寿を促進する空腹ホルモン「グレリン」と同様の働きをするグレリン様物質を発見した(特許出願中)。これらの知見に基づき、機能性焼酎の開発を試みている。
人参養栄湯は最強の補剤とも称され、高齢者において免疫機能の強化、食欲促進、サルコペニアの軽減など、フレイルの予防・治療効果が報告されている。この人参養栄湯が作用するのは、胃から分泌されるグレリンおよびその下流にある視床下部の神経ペプチドYである。この空腹系がカロリー制限(腹八分)の根幹をなし、健康長寿・腫瘍抑制・ストレス耐性に深く関わっている。
人参養栄湯の構成成分の一つである陳皮は、温州ミカンがその素材の一つである。温州ミカンの源流は桜島小ミカンと言われ、ヘスペリジンなどの有効成分を多く含み、グレリンを増加させる。本講演では、健康長寿や若返りなど現代医学の命題に対し、医食同源の立場からその進歩を述べる。
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