国際島嶼教育研究センター
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研究会などの記録 
2017年(島嶼研)

  • 2017年6月19日(月)国際島嶼教育研究センター第179回研究会
    16時30分 総合教育研究棟5階

    「海の人類史-環太平洋に進出したヒトと島嶼適応」

     小野林太郎(東海大学海洋学部)


    [要旨]
      私たち人類は、アフリカ大陸の森林地帯で誕生した。そんな私たちはいつ海と出会い、また海を利用するようになったのか?日本食に欠かせない魚を食べだしたのはいつ頃なのか?本報告ではそのような素朴な疑問に対し、ヒトと海の歴史を人類史的な視点から再検討してみたい。具体的には、私たち新人(ホモ・サピエンス)を含めた人類誕生の地とされるアフリカの事例、さらに私たちの海洋適応がもっとも進んだ可能性のある環太平洋圏における島嶼域の事例を中心に検討していく。とくに近年、世界最古の貝製釣り針が発見された琉球列島や、カツオ・マグロ等の外洋魚類を対象とした最古の利用痕跡が発見された東インドネシア域の事例、また新石器時代以降に中国南部や台湾方面から、ポリネシアのハワイやイースタ島、ニュージーランドをふくむ南太平洋への移住・拡散に成功したアジア系集団の島嶼・海洋適応に関する最新の研究成果を、報告者自身の研究やフィールド体験を交えつつ紹介する。



  • 2017年5月29日(月)国際島嶼教育研究センター第178回研究会
    17時00分 総合教育研究棟5階

    「魚介類のブランド化の取り組みを考える:大分県「かぼすブリ」を事例に」

     鳥居享司 (鹿児島大学水産学部)


    [要旨]
      漁業経営は厳しさを増している。川下決定の価格形成が指摘されて久しく、価格問題に悩む漁業者は多い。こうしたなか、いわゆる「ブランド化」の取り組みによって漁家経営振興を目指す取り組みが、離島はもちろん本土でも散見される。鰤王・鯛王(東町漁協)、海の桜勘(垂水市漁協)、菜の花カンパチ(山川町漁協)、ねじめ黄金カンパチ(ねじめ漁協)などにみられるように、名前のついた魚介類は多数存在する。その一方で、通常の養殖業に比べて遙かに高値で取り引きされるものはほとんど見当たらない。「ブランド化」の取り組みによって生産コストは上昇する一方で、販売価格にそれを転嫁できないケースが相次いでいる。「ブランド化」の取り組みは、漁家経営を一層厳しいものにしかねないのである。
     本報告では、差別的な価格形成に成功する「かぼすブリ」(大分県)の事例を取りあげ, 差別的な価格形成に成功した要因について明らかにしたい。なぜ、「かぼすブリ」は差別的な価格形成に成功したのだろうか。その背景には、良質な養殖ブリを生産しようとする生産者の努力はもちろん、生産計画を練る行政、販路開拓に邁進する漁協や市場関係者の努力があった。



  • 2017年4月17日(月)国際島嶼教育研究センター第177回研究会・総合研究博物館第23回研究交流会
    16時30分 総合教育研究棟5階

    「日本海開裂と日本列島の誕生―もう一つの物語―」

     鹿野和彦 (産業技術総合研究所地質調査総合センター)


    [要旨]
      日本列島主部は、大陸から分離して現在の位置に移動してきた火山弧であり、日本海は、その過程に伴って火山弧の背後に形成された凹地である。これは、1915年に発表されたWegenerの大陸移動説に接した寺田寅彦らがいち早く唱えた説で、長い間、地向斜造山運動論の中に埋もれてしまっていたが、1980年代になって、日本列島各地の古地磁気方位の変遷に基づいて西南日本の時計回りの回転と東北日本の反時計回りの回転によって日本列島が移動したとする説が発表されると広く受け入れられるようになった。とはいえ、移動の時期と移動プロセスの詳細については依然として議論が絶えない。それは、日本列島が大陸から分離移動した時期の地層と目されるグリーンタフについて、その年代を確認し、そこに記録されているはずの地質プロセスを読み取ることがむずかしかったためである。火山岩相解析や信頼性の高い年代測定法を導入して行われた最近のグリーンタフ研究から見えてくる日本海開裂と日本列島誕生についての新たな見方について語る。



  • 2017年3月13日(月)第176回 国際島嶼教育研究センター研究会
    16時30分 総合教育研究棟5階

    「なぜ私は首狩(くびかり)を研究するのか?」

     山田仁史 (東北大学大学院文学研究科)


    [要旨]
      私は2015年、『首狩の宗教民族学』(筑摩書房)を刊行し、人類諸社会において過去に行われてきた首狩(くびかり)という習俗の諸相、とくに宗教的側面についてくわしく論じた。今回の発表では、本書の概要をざっとおさらいした上で、その後の研究の展開について述べるとともに、このような文化現象を研究するにいたった動機とその意義について、あらためてお話ししたい。
      多くの人が驚くのだが、首狩慣習は狩猟採集民にはほぼ皆無であり、むしろ焼畑農耕民にひろく行われてきた。とりわけ東南アジア大陸部と島嶼部では20世紀前半までこれが盛行し、多くの類似点を示している。狩ってきた敵の頭部が自分たちの村の守護者になり、農耕における豊穣、狩猟の成功、女性の多産や病気の駆逐を確保してくれる、という観念が広汎に見られたのである。
      日本史上においても、合戦の中で「首取(くびとり)」や耳鼻削ぎといった行為がなされたことは、よく知られている。そのことは、本書の後に出版された清水克行『耳鼻削ぎの日本史』や室井康成『首塚・胴塚・千人塚』(いずれも洋泉社、2015年)に見られるとおりだ。同じく本書の後、ラーソン『首切りの歴史』の邦訳も出た(河出書房新社、2015年)。冒頭で言及される南米ヒバロ(シュアル)族の「乾し首」をめぐる諸観念も、首狩と多くの共通点を持っている。
      さて、なぜ私は首狩を研究するのか?それは、現代日本社会の常識から遠く隔たった物事にこそ、人類の本質を知る手がかりがあるのでは、と思うからだ。人命の軽重についての見方がいかに変化したかは、一つの驚異である。



  • 2017年2月13日(月)第175回 国際島嶼教育研究センター研究会
    16時30分 総合教育研究棟5階

    「パプアニューギニアにおける犯罪の現状と課題―日本の事例と比較して―」

     ゲリー・サリ (鹿児島大学国際島嶼教育研究センター)


    [要旨]
      本発表では、パプアニューギニアにおける犯罪の現状だけではなく、犯罪が起きる背景について、日本の犯罪および司法制度と比較しながら明らかにしたい。様々な媒体から得られる文献資料や事例を用いて、知能犯罪や越境犯罪、民族紛争、窃盗犯罪、暴力犯罪の観点から、パプアニューギニアの犯罪の現状を紹介する。犯罪は孤立・分断した問題ではなく、パプアニューギニア人や日本人が日々の生活を営んでいる社会的文脈に由来している。多くの先進国や発展途上国と比較しても、日本は低い犯罪率を維持してきた。パプアニューギニアは、日本の刑事司法制度だけではなく、日本の低い犯罪率に関係している構造要因を学ぶ必要がある。パプアニューギニアは危機駆動型アプローチから脱却し、様々な構造要因が混ざり合って犯罪が成立していることを理解すべきである。パプアニューギニアの最悪な犯罪情勢に対応するためには、政治的意志・資源だけではなく、強く、活気があり、安定的で、弾力的な官僚制度・司法制度が必要となる。










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