国際島嶼教育研究センター
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研究会などの記録 
2012年(島嶼研)

  • 2012年5月7日(月)第127回 国際島嶼教育研究センター研究会
    16時30分 総合教育研究棟5階

    「「甑島のトシドン」とユネスコ」

     マイケル・フォスター (インディアナ大学)


    [要旨]
      2009年に日本の伝統13件がユネスコの「人類の無形文化遺産の代表一覧」に記載された。そのうちの一つが鹿児島県下甑島で大晦日に行われる「甑島のトシドン」である。「トシドン」とは子どもの教育や躾のために代々伝えられる大事な年中行事である。 本発表では、 トシドンのあり方や本来の意味合いを紹介した上、ユネスコに認められたことにより、これからトシドンがどのように変化して行くのか考える。観光客が増えるという予測もあり、伝統を観光の目玉として島の活性化を図る、好ましい方法とはどのような形をとるのだろうか。 下甑島の地元の人々の声を取り上げ、考察してみたい。



  • 2012年4月16日(月)第126回 国際島嶼教育研究センター研究会
    16時30分 総合教育研究棟5階

    「船と海の思い出」

     市川敏弘 (鹿児島大学理工学研究科(理学系))


    [要旨]
      海の研究を専門にしたために練習船や調査船で、北太平洋、ベーリング海、南太平洋、インド洋などへ出かける機会があった。合計すると約1500日間を船で暮らしたことになるが、乗船回数が最も多い船は鹿児島大学の敬天丸であった。特に長期航海の海上での作業や寄港地での体験は、あの惨憺たる船酔いの経験も含めて、忘れ難いものがある。今までつき合った船や海の姿は、私にとっては限りなく懐かしい思い出として残っている。広くて深い海は、陸上とは違って行こうと思えば行けるという場所ではない。そのため研究の能率は悪いが、そこにまた海の魅力がある。船と海の体験について、研究成果も少し含めて報告したい。



  • 2012年3月12日(月)第125回 国際島嶼教育研究センター研究会
    16時30分 総合教育研究棟5階

    「サテライト教室と私の奄美研究」

     山田 誠 (鹿児島大学法文学部)


    [要旨]
      近年、鹿児島大学は奄美をフィールドとする教育及び研究に大きな力を投入している。初期の段階で、この取り組みにかかわった一人として当時を振り返れば、偶然に大学を取り巻く環境の劇的な変化に立ち会うことになったというのが率直な実感である。
      一時期、奄美をテーマにして科学研究補助金による研究、大学の全学プロジェクトが重なり、それに並行して奄美にサテライト教室が開設された。だが、一連の研究と大学院のサテライト教育は別々の事情で誕生し、それぞれ自立した展開をたどってきた。その事実経緯にもかかわらず、私が仕掛け人の一人として加わった当時の一連の活動は、奄美群島における鹿児島大学のプレゼンスを高めるのに、結果として少なくない貢献をしたと自負している。というのは、それまで奄美における鹿児島大学の位置は、過去の経緯や他大学がいち早く継続的な関係を築いていたこともあり、あまり良好ではなかったからである。
      私個人の奄美研究に関していえば、全学プロジェクトの前には物議をかもした1本の調査研究があるだけであった。この間、奄美群島にずいぶんと出かけたが、ほとんどの場合、サテライト教室の授業や打ち合わせ・会議などであって、調査に回った機会は数えるほどしかない。結局、奄美についてもっとも深く学ぶ機会となったのは、受講生が調べてきて報告する授業だといえる。この点で、受講生の人たちにはとても感謝している。



  • 2012年2月29日(水)第124回 国際島嶼教育研究センター研究会
    16時30分 総合教育研究棟5階

    「実践・教育法・理論―太平洋諸島民研究についての一論評―」

     Keith L. Camacho (カリフォルニア大学ロサンゼルス校)


    [要旨]
      本発表では、米国本土、とりわけカリフォルニアにおける太平洋諸島民研究の形成について探究する。太平洋諸島民研究は、現在ホットな研究領域として、人類学や地域研究といった冷戦の刻印を受けた先行研究とともに、ある部分では太平洋研究や太平洋諸島研究の流れを汲んでいる。こうした関連分野においては、太平洋諸島民らはしばしば、個別の土着共同体として理解され、彼らの場所や権力をめぐる観念は、太平洋のそれぞれの環礁や群島のうちに存するものとされてきた。しかし、ディアスポラ研究や移民研究の成果にもかかわらず、こうした地域を離れた、特にアメリカ本土在住の太平洋諸島民の共同体に関する研究はほとんど手つかずの状態である。そこで本発表では、こうした新領域の研究発表や議論がもっとも活発に展開されている地域の一つであるカリフォルニアにおいて、太平洋諸島民研究が学術的、歴史的、政治的に形成される様相を検討したい。こうした議論の中心には、民族研究や先住民研究への方法論的転回と、そこでの分析的カテゴリーや制度上の組織力や政治的実践が、太平洋諸島民による脱植民地化と社会的公平性への要求を進展させた(あるいはさせなかった)方法への方法論的転回とが存在しているのである。



  • 2012年2月20日(月)第123回 国際島嶼教育研究センター研究会
    16時30分 総合教育研究棟5階

    「海に魅せられて」

     大木公彦 (鹿児島大学総合研究博物館)


    [要旨]
      1970年代前半、鹿児島湾周辺地域の第四系の構造発達史を解明するために地質調査を行ったが、同時に水産学部のかごしま丸や敬天丸で海底表層堆積物の採取も行っていた。最終的に、鹿児島湾から採取した海底表層堆積物の粒度組成や底生有孔虫群集解析によって鹿児島湾の堆積環境について博士論文としてまとめ、1989年に南太平洋海域研究センター(現在の国際島嶼教育研究センター)の「South Pacific Study」に投稿した。一方、1981?93年に早坂先生を代表とする科研費海外学術調査で南太平洋に生息する生きた化石「オウムガイ」の調査に携わった。調査結果は5冊の「Occasional Papers」で報告された。これら2つの調査の研究結果の概要を、思い出も含めてお話ししたい。



  • 2012年2月9日(木)第122回 国際島嶼教育研究センター研究会
    16時30分 総合教育研究棟5階

    「動物化石の同位体分析により考察する東シナ海周辺の初期家畜文化の発展」

     南川雅男 (北海道大学大学院地球環境科学研究院)


    [要旨]
      原発事故で放出された放射性核種は、図らずも自然界と人間生活の結びつきを確認させるきっかけとなったが、人間と自然界の物質の関係の深さは、容易に見えにくいものである。一方、近年、自然生態系における物質共有の程度や影響範囲は、炭素や窒素の安定同位体によって研究されるようになってきた。もともと自然界に不均一に存在している炭素と窒素の安定同位体は、生々流転を経てもなお履歴にしたがった特徴を示すことから、元素の由来をたどるトレーサーにすることができることが、動植物や人類生態の研究で示されてきた。
      この講演では、東シナ海を交易圏とする先史時代に、東シナ海周辺の人類集団が、どのように交流していたかを明らかにした研究を紹介する。一般に、野性の草食動物は、気候風土に適応した植物を基点とする食物連鎖によって規定されるため、同位体組成が地域的に特徴づけられているが、家畜化された動物個体は人為的に食物連鎖が変えられてしまい、その違いは動物骨のタンパク質の炭素・窒素の同位体組成で見分けることができる。東シナ海を囲む島嶼と大陸、半島間の家畜の同位体分布は変化に富んでおり、家畜飼育の伝搬や普及過程の地域差を考えるうえで示唆にとんだ情報を与えてくれる。これらの実例を紹介しながら、同位体研究法の長短についても触れたい。



  • 2012年1月16日(月)第121回 国際島嶼教育研究センター研究会
    16時30分 総合教育研究棟5階

    「植物の生活型からみた海岸植生の生態〜チューク諸島と南西諸島」

     川西基博 (鹿児島大学教育学部)


    [要旨]
      海岸植生とは、海と陸の境界域に成立する独特な植生であり、島嶼の景観を特徴づける重要な構成要素である。一般に、海岸は土壌の発達が悪く栄養に乏しい、塩分濃度が高い、風害を受けやすい、飛砂や崖の崩壊など立地が不安定であるなど、植物の生育にとっては厳しい環境であるといってよく、内陸部に比べて単純な植物群落が成立することが多い。海岸植生の種組成・構造は地形や地理的条件に応じて変化し、地域的な違いがみてとれるが、その違いの一部は各種の生活型と環境との関係から理解することができる。本発表では、チューク諸島における海岸植生の種組成と生活型組成を紹介し、南西諸島の海岸植生との比較を通して、両地域の海岸植生の共通性と多様性について検討したい。








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