国際島嶼教育研究センター
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研究会などの記録 
2002年(多島研)

  • 多島域フォーラム
    シンポジウム「制度を生きる人々 ―フィリピン地域社会経済の学際的研究―」


    人々の生活は、法制度、経済制度、家族制度など、さまざまな制度によって方向付 けられます。現代社会においては、さらに、国民国家の枠組を越えたグローバルな要 因にも大きく影響されます。いっぽう人々は、それらの制度によって動かされるだけ でなく、制度を動かし作りかえていく「行為主体」の柔軟に側面ももっています。制 度を柔軟に運用しながら「より良き生活の実現」にむけて生活設計をおこなっている のです。成長過程にあるアジア諸国の地域社会経済の形成を理解するうえでは、この ような人々と諸制度間の関係が明らかにされなければならないのです。

    開催日時:2002年12月21日(土)13:00 - 18:00
    開催会場:鹿児島大学総合教育研究棟201講義室(共通教育門横7階建てビル)
    企画協力:西村 知(鹿児島大学法文学部
    入場無料(どなたでも参加できます)

    • 予算過程の政治 ―国家資源分配の制度と過程―  
       川中 豪(アジア経済研究所
      [要旨] :フィリピンの政治権力は中央レベルにおいても地方レベルにおいても国家資源(経済的資源と強制力的資源)のコントロールを重要な基盤としている。国家資源の中でも特に重要な位置を占める財政的資源分配の決定過程、つまり予算過程を分析することによってフィリピン政治権力の実像を描くことが本報告の目的である。分析にあたって、憲法を頂点とする法制度が予算過程をどう規定するかを中心に議論を進める。
    • 町工場の民族誌 ―紙器工場経営と親族ネットワーク―
       長坂 格(新潟国際情報大学情報文化学部
      [要旨] :現在のマニラ首都圏における紙器工場の大半は、イロコス地方のある町出身者ないしはその親族関係者が経営している。本報告では、こうした特定の町出身者が親族ネットワークを援用しながら、紙器産業に集中した経緯を跡付ける。さらにそうした過程を、出身地社会の家族・親族制度及びマニラ首都圏における紙器産業の発展の歴史との関連で考察することによって、従来の移住者ネットワークに関する議論を批判的に検討する。
    •  行為主体的聴取者(アクティブ・リスナー) ―メディア環境における社会的制度与件との関わりで―
       川田牧人(中京大学社会学部
      [要旨] :セブ市を含むメトロ・セブ広域都市圏には、24のFM局と15のAM局が開設されている。報告では、ラジオをめぐるメディア・エスノグラフィーを、メディア環境の社会的制度与件とのかかわりにおいて考えたい。メディア環境の制度的部分として、各ラジオ局のプログラムをはじめ、放送規制をもたらす組織的要因があげられる。それに対してラジオリスナーが、まったく自発的・能動的に、かつ無制限に制度的枠組や構造を改編していく主体ではなく、「期せずして」日常の微細な活動のなかで実践していく様相を、補完的制度としてのラジオ局、仮想共同体の構築、生活知識の形成などの側面から考察したい。
    • 米国植民地統治下におけるミンダナオ島支配と「モロ」としてのムスリム
       鈴木伸隆(筑波大学歴史・人類学系
      [要旨] :本発表は1898年に始まる米国によるフィリピン植民地統治を対象として、ミンダナオ島の制度的支配とムスリムの対応を考察するものである。植民地統治当初、「野蛮」とされたムスリムは、悪弊を廃止して、文明人にふさわしい精神を習得すべきとされた。それは教育や定住化政策となって現れ、フィリピン国民への転換が期待された。こうした文明化に対して、どのように主体的に対応したのか、植民地状況という不均衡な力関係を前提に論じてみたい。
    • 5) 農村住民の生活実践―貧困の再生産と生活向上戦略― 
       西村 知(鹿児島大学法文学部
      [要旨] :フィリピンの農村では、様々な種類の人々が家族制度、土地制度、雇用制度などの各種の制度を運用しながら生活設計を行なっている。ここでの特徴はこれらの制度が行為主体によって柔軟に組み合わされ、読みかえられていることである。その結果として地方住民の経済社会が形作られている。この報告では、土地無し農業労働や零細農の貧困再生産構造を土地制度や雇用制度の運用に焦点をあてることによって明らかにする。また、非農家の生活向上戦略について諸制度の相互連関関係を中心に考察する。
  • 多島域フォーラム 「列島火山の噴煙活動を探る」
    企画協力:木下紀正(鹿児島大学・教育学部
    • 公開講座(講演会)
      2002年11月9日(土) 14時00分 総合教育研究棟201講義室
      1.小林哲夫 (鹿児島大学理学部):「列島火山の噴火史」
      2.木下紀正 (鹿児島大学・教育学部) :「衛星から観た火山と噴煙」
      3.風早康平 (産業技術総合研究所) :「三宅島噴火と火山ガス大量放出−観測結果と原因−」
      4.内田孝紀 (九州大学応用力学研究所) :「火山ガスの流れを探る」
    • シンポジウム
      2002年11月10日(日)9時30分 総合教育研究棟201講義室
      1.篠原宏志 (産業技術総合研究所):「薩摩硫黄島の活動状況について」
      2.井口正人 (京都大学防災研火山活動研究センター):「薩南諸島の火山活動と熱映像観測」
      3.A. Tupper (豪Darwin航空機火山灰監視センター/鹿児島大学・教育学部):「南太平洋の噴火活動監視」
      ほか、研究発表・コメント
    • ポスターとデモ 
      2002年9日:12時- 17時, 10日:9時-17時 2Fオープンスペース
      • 火山の島々の紹介
      • 講演・研究発表に関係したポスター展示とパソコンのデモ
      • 火山関係のホームページ紹介など
  • 2002年10月28日(月)第35回 多島圏研究センター研究会
    水上惟文(鹿児島大学・医学部
    「奄美諸島におけるハブの生活史」
    16時30分 総合教育研究棟201講義室

    [要旨] 奄美諸島(喜界島以南与論島以北)に棲息しているハブ属のヘビは、ハブTrimeresurus flavoviridis とヒメハブTrimeresurus okinavensis の二種であるが、奄美大島、徳之島にはハブ、ヒメハブの二種が棲息するが、加計呂麻島、与路島、請島、枝手久島にはハブしか棲息せず、喜界島、沖永良部島、与論島にはハブ、ヒメハブのいずれも棲息しないなど、特異的な分布をしている。 ハブの餌は主にネズミで、ネズミが多いサトウキビ畑や人家近くがハブの棲息地である。ただ、孵化後の幼蛇の餌については殆ど分っていない。繁殖については、ハブは全長120 cm以上の雌ハブが成蛇、ヒメハブは全長45 cm以上の雌ハブが成蛇と考えられている。今回の発表では、奄美諸島におけるハブの生活史について概略を述べる。

  • 2002年9月30日(月)第34回 多島圏研究センター研究会
    日高哲志(鹿児島大学・多島圏研究センター)
    「カンキツのシャトルカルスシステム」
    16時30分 総合教育研究棟201講義室

    [要旨]カンキツの胚及び胚様体から、継代培養しても胚様体形成能を失わないカルス(embryogenic callus)が得られる。これらのカルスは培地に加える糖類を変えることによって胚様体を形成し、また、得られた胚様体から、再び胚様体分化能を持つカルスが再誘導できる。すなわち、胚あるいは胚様体からカルスを誘導し、それらの胚から再び胚様体を形成させるという系が明らかになったので、この系を「シャトルカルスシステム」と名付けた。胚様体は葯培養によっても得られる。カルスからは容易にプロトプラストを得ることができ、また、プロトプラストから胚様体を経て、植物体が得られる。このシャトルカルスシステムを利用して、細胞融合や遺伝子導入を行うことができる。

  • 2002年7月29日(月)第33回 多島圏研究センター研究会
    Soedarsono Riswan(鹿児島大学・多島圏研究センター)
    「Ethnobotanical Study on Zingiberaceae in Indonesia」
    (インドネシアにおけるZingiberaceaeについての民族植物学的研究)

    16時30分 総合教育研究棟201講義室

    [要旨]植物は常に世界中で経済、産業、そして文化において重要な役割を果たしてきた。インド―マレーシア地域において最大、あるいは世界全体ではブラジルについで2番目に大きいインドネシアの熱帯雨林は生物多様性においても、民族グループにおいてもとても多様な地域である。Zingiberaceae科の植物はインドネシアの文化において長い間重要な役割を果たしてきた。例えば、ジャワ族においては経済的価値を持った伝統的な薬草として使われてきた。分類学的にも複雑で大きな科で分布も広いためとても興味深い仲間である。
     この研究会ではインドネシアのZingiberaceae科の植物について野外研究と文献をもとに、伝統的な使用方法とその分布について考察する。この仲間の内18属109種は多くの目的に使用されているが、特に薬草と調味料として用いられている。もっとも経済的に重要な属はCurcuma、Zingiber、Amomum、Etlingera、そしてAlpiniaである。インドネシアのZingiberaceaeの研究では20属386種が報告されている。もっとも多くの種数をもつ属は3つあり、Alpiniaが92種、Amomumが66種、そしてRiedeliaが62種である。
    [この要旨の原文は英文。]

  • 2002年6月15日(土)第32回 多島圏研究センター研究会 総合研究プロジェクト研究成果報告会
     9時30分-16時30分 総合教育研究棟203講義室
    プログラム
  • 2002年6月10日(月)第31回 多島圏研究センター研究会
    梁川 英俊(鹿児島大学・法文学部
    「島」としてのブルターニュ
    16時30分 総合教育研究棟201講義室

    [要旨] フランス北西部に位置するブルターニュ地方は、フランスでも際立って地域的 アイデンティティの自覚が強い地方として知られている。その存在は中央集権 国家フランスの諸地方のなかで異彩を放っているといってよい。この発表では そうした独特のアイデンティティの由来と歴史的背景を紹介しながら、その多 様な発現形態を政治・社会・文化の各領域において探り、「ポスト国民国家」 時代のヨーロッパにおける新しい地方のあり方を検討する。

  • 2002年5月27日(火)第30回 多島圏研究センター研究会
    久保田康裕(鹿児島大学・教育学部
    南西諸島における亜熱帯森林群集における林木種多様性について ―沖縄島北部(通称ヤンバル)地域の森林の現状と保全―
    16時30分 総合教育研究棟201講義室

    [要旨] 日本における亜熱帯林は南西諸島に、そのほとんどが分布している。亜熱帯林の林木種数は90種/ha以上で熱帯にも比肩しうる種の豊富さである。その一方で暖温帯の常緑照葉樹林と群集構造の特徴が類似している。すなわち亜熱帯林は、「組成的には熱帯に近く構造的には暖温帯に近い」、といった植生の移行帯として認識できる。また南西諸島は、生物学的に貴重な地域であるにも関わらず、その亜熱帯林は人為活動によって衰退・劣化しつつある。例えば。沖縄島北部における森林保全の問題(いわゆるヤンバル森林伐採問題)は、本研究課題の大きな社会的背景の一つである。すでに過去5年間に渡って、長期的に亜熱帯林の動態をモニタリングするデザインを構築してきた。最終的な目的は、亜熱帯林の管理・保全といった応用面での貢献を目指している。
     今回の発表では、亜熱帯林の種多様性維持機構とその動態の特徴について、以下のような視点に基づいて報告したい。南西諸島の亜熱帯林では、森林伐採は大きなインパクトとして存在する。したがって伐採に応じた様々な発達段階の林分がランドスケープレベルでモザイク上に分布している。一方この地域のランドスケープのもう一つの特徴として、複雑な地形が挙げられ、それに応じて、林分構造や種組成が異なっている事がある。地形の複雑さは言いかえれば、土壌の養分・水分条件など物理的環境条件の異質性である。すなわち、人為影響、複雑な地形等が、物理的環境要因を介して、林木種の分布パターンや成長動態、種間の競争関係に影響を与え、結果的に亜熱帯林の多様性に寄与していることが仮説として設定できる。この仮説に対する定量的分析は未だ十分ではないが、断片的なデータから亜熱帯林の林木種多様性について話を進めたい。

  • 2002年3月26日(火)第29回 多島圏研究センター研究会
    中野 和敬(鹿児島大学多島圏研究センター
    デンマークの小母ちゃんに魅せられて
    16時30分 総合教育研究棟201講義室

    [要旨] 三十数年も前のことになるが、植物生態学を専攻する大学院生であった小生が農業地理学のゼミに出席していた時、デンマークの小母ちゃんが書きおろしたばかりのあまり厚くはない本を読まされた。その小母ちゃんの名はEster Boserupと言い、当初、学界でのその本の評判はあまりかんばしいものではなかった。ところが、1970年代になって考古学者、人類学者、地理学者のかなりが彼女が提唱したモデルの熱烈な支持者となった。彼女のモデルが小生を驚かせ、また、魅了したのは、彼女が、焼き畑農業が大量の補助エネルギーを投入する近代農業体系を除くほかのどの耕作体系と比較して、最も労働生産性が高いと喝破したからであった。この見解は当時も、また、いまだに現在でも一般常識に真っ向から対立するものである。1972年に博士最終試験に合格した直後から、小生は彼女のモデルの出発点となる仮説が現実に対して確かに当てはまるかどうかを実証するのをめざして今まで学問的努力を重ねてきた。今回の研究会では、こうした点についてやや詳しく述べる。

  • 多島域フォーラム「島に生きる」
    シンポジウム・外から奄美の文化を見る
     本シンポジウムは、民俗学的視点で奄美文化を「外」からみることを強く意識して企画された。3人の発表者は奄美の文化を、民俗伝承、民俗宗教、民俗建築という「民俗」の視点で切り取り、「島口と島唄」、「民俗宗教と新宗教」、「風土と住まい」をそれぞれの奄美文化の「依代」として、過去と現在あるいは古いものと新しいものが交錯する奄美文化の現在の形を捉えてみせる。本シンポジウムのもう一つの企図は、奄美との出会いが比較的新しい本土出身の研究者の目に映った奄美文化の姿を、奄美文化の優れた研究者である奄美出身のコメンテーターという「鏡」に写すことで、「外」の像を結んでみることにある。発表者と標題、概要は次のとおりである。

    開催日時  2002年2月23日 (土) 午後1時〜5時
    開催会場  鹿児島大学農学部連合大学院 (農学部正門横)
    企画、座長 桑原 季雄(鹿児島大学法文学部

    1) 鈴木 寛之(琉球大学法文学部
    口承説話からみた徳之島の「風土」――徳之島町の「島口・島唄大会」をめぐって――
    [要旨] 徳之島町では「郷土文化の伝承を図るために、島口・島唄の発表と鑑賞の場を提供し、もって地域の文化に対する関心を高めるとともに、町民相互の親睦と豊かな心情を培う」ことを目的とした「島口・島唄大会」が町教育委員会の主催で毎年開催されている。地域に伝わる説話や民謡、以前の生活ぶりを回顧する談話などが「島口」で披露されるなかで、地域の人々が語り継ごうとしている島の「風土」とはどのような内容なのか紹介したい。

    2) 徳丸 亞木(鹿児島大学法文学部
    奄美における民俗宗教の現在 
    [要旨] 南西諸島の島嶼社会は、シマを単位として自律的・閉鎖的なコスモロジーを構成・維持してきたと理解されている。今回は、奄美大島名瀬市小湊地区を例として、聖地、神社、伝統的宗教者、モーヤ、先祖祭、カトリック教会、新宗教などシマ社会における民俗宗教の現況とその変容過程について報告し、各信仰表象との関わりからみた、住民のアイデンティティ形成についても論じたい。

    3) 土田 充義(鹿児島大学工学部
    奄美の風土と住まい
    [要旨] 奄美は台風の常襲地帯であり、台風対策は住民の大きな課題であった。台風にびくともしない住まいを建てる方法もあるし、台風の力を認めて、うまく処置する方法もある。奄美の人々は後者の方法を用いた。尾根を低く、勾配を緩く、周囲に塀を立て、正方形に近い住まいにした。規模は小さい方が好ましい。また火災から守るために、高倉群を住居から離し、家屋の方には燃え難い樹木を立てた。このような先達の知恵を探ってみたい。

    コメンテーター 田畑 千秋(大分大学教育福祉科学部
    続いて総合討論

  • 多島域フォーラム「島に生きる」
    • 公開講座・長寿を考える
       最近、健康に長生きしたいという昔からの願望をかなえようと、健康ビジネスが成り立つほど、皆が自分の心身に深い関心を寄せて毎日を過ごしている時代となってきた。日本の南西諸島は、以前から長寿者が多いと知られており、ギネスブックに載って有名になった故泉重千代さんは徳之島在住、現在鹿児島市在住で長寿日本一の方も徳之島生まれ。こうしたことから、本センターは、今回南西諸島と長寿との関係に光をあてて公開講座を企画した。講演の先生とその概要は次のとおりである。

      開催日時  2002年2月16日 (土) 午後2時〜4時半
      開催会場  鹿児島大学総合教育研究棟201講義室(共通教育門横7階建てビル)
      企画協力  波多野 浩道(鹿児島大学医学部

      1) 野地 有子(札幌医科大学保健医療学部
      健やかな長寿のために
      [要旨] わが国は、世界の中でも最も長寿の国となり、中でも沖縄を中心とした多島域が注目されています。沖縄には、恵まれた自然環境に加えて、食事を中心とした生活のしかたや、長寿者の生活を支える社会のしくみと長寿文化があるといわれております。そこで、最近の長寿に関する研究成果などを踏まえて、元気に長生きするためにはどのような事が大切なのか考えてみましょう。また、アメリカの元気な高齢者の生活を紹介しながら、生活習慣や文化の違う国の人々は、どのように健やかな長寿のための努力をしているのか参考にし、私たちの生活をふりかえる機会といたしましょう。

      2) 宮城 重二(女子栄養大学栄養学部
      沖縄に学ぶ「長寿7カ条」
      [要旨]
      ・肉類を過不足なく食べる。
      ・ 豆類特に豆腐も肉類とバランスよく食べる。
      ・ 野菜類や海藻類も多く食べる。
      ・塩分や砂糖の摂取が少ない。
      ・運動や労働を続け、年中体を動かす。
      ・「テーゲー主義」で心のゆとりをもって生きる。
      ・「共存社会」「ヨコ社会」「オンネ社会」を生きる。

      続いて自由懇談

  • 2002年1月28日(月)第28回 多島圏研究センター研究会

    森田 公一(長崎大学熱帯医学研究所
    デング熱・デング出血熱
    16時30分 総合教育研究棟201講義室

    [要旨] デング熱・デング出血熱はデングウイルスの感染によって発症する急性の熱性疾患で ある。このウイルスは熱帯地域の人口密集地域に生息する熱帯シマカによって媒介さ れ、ヒト−蚊−ヒトの感染サイクルで効率よくウイルスが増幅されるためにアジア、 中南米で多くの患者が発生しておりその数は年間で数千万人と推計されている。デン グウイルスには未だ有効なワクチンがなく、また蚊の対策も行き詰まりを見せており 患者数・流行地域ともに増加・拡大傾向にある。今回はデングウイルス感染症を基礎 ・臨床の両側面から解説しデング流行地域の拡大の要因、デング出血熱の発生要因や デングワクチンの開発が困難を極めている理由について解説を加えて見たい。

  • 第26回日本熱帯医学会九州支部大会
          日 時:2002年1月26日(土)〜27日(日)
          会 場:鹿児島大学稲盛会館
          大会長:野田伸一(鹿児島大学多島圏研究センター
          総合テーマ「島嶼地域の諸問題」

      2002年1月26日(土)
          特別講演1:HAM発症の分子病理(14:00〜14:50)
                  出雲周二(鹿児島大学医学部附属難治性ウイルス疾患研究センター分子病理・遺伝子疫学研究分野
          特別講演2:環境問題と地域づくり(14:50〜15:40)
                  田中健次郎(鹿児島県環境技術協会
          シンポジウム1:奄美のハブ(16:00〜17:40)
                現状と問題点
                  服部正策(東京大学医科学研究所奄美病害動物研究施設
                ハブ毒腺アイソザイムの加速進化
                  大野素徳(崇城大学工学部応用生命科学科
                ハブ毒による出血と筋肉壊死(動物実験を中心に)
                  北野元生(鹿児島大学歯学部口腔病理学
      2002年1月27日(日)
          シンポジウム2:南太平洋島嶼の諸問題(9:00〜12:00)
                ミクロネシアにおける思春期自殺と社会変化
                  Donald H. Rubinstein(鹿児島大学多島圏研究センター客員教授,Anthropology & Public Health, Micronesian Area Research Center, University of Guam
                太平洋の島々におけるハンセン病
                  後藤正道(鹿児島大学医学部第2病理学
                西太平洋地域のデング熱・デング出血熱
                  森田公一(長崎大学熱帯医学研究所病原体解析部門分子構造解析分野
                ソロモン諸島のマラリア
                  石井 明(自治医科大学医動物学
         学生シンポジウム(13:00〜15:00)
                テーマ:フィールドワーク入門
                  熱帯医学を見つめる2時間






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