国際島嶼教育研究センター
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研究会などの記録 
1999年(多島研)

  • 1999年12月20日(月)第11回多島研センター研究会
    練習船による総合学術調査
    井上晃男(多島圏研究センター)

    多島圏研究センターは、その前身である南方海域研究センター時代以来、水産学部練習船を利用した総合学術調査を合計11回実施した。その対象国はフィジー、ソロモン諸島、パプアニューギニア、パラオ共和国、ミクロネシア連邦の5ヶ国であり、参加隊員は延べ360名に上る。これらの一連の調査について概括し、あわせて今後の調査のあり方について考える。

  • 1999年11月29日(月)第10回多島研センター研究会
    Transgenderism, Transnationalism, and Beauty Contests in Tonga (South Pacific)
    Niko Besnier(鹿児島大学多島圏研究センター)

    Around the world, beauty pageants and contests are a prime context in which the boundaries between fantasy and reality, the local and the extra-local, and domination and agency are defined. Transgendered persons in Tonga (South Pacific), known locally as leiti, organize a yearly Miss Galaxy contest, during which they negotiate their place in society. Most participants present themselves as other than Tongans, despite the fact that their underprivileged status prevents them from partaking in the transformations of Tongan society into an increasing transnational society. The pageant is thus a context in which participants act out not just fantasies of gender transformation, but also dreams of status transformation. In the process, gender crossing and extra-locality become complexly intertwined.

  • 1999年9月20日(月)第9回多島研センター研究会
    住血吸虫症対策
    野田伸一(鹿児島大学多島圏研究センター)

    [要旨] 熱帯地域に住む多数の人々は,不備な生活条件と劣悪な環境,それに起因する健康の悪化に苦しめられている.さらにこうした環境に固有の疾病,すなわち熱帯病がもたらす深刻な結果にも耐えなければならない.マラリア,住血吸虫症,リンパ系フィラリア症,オンコセルカ症,リーシュマニア症,シャーガス病,アフリカ睡眠病,ハンセン氏病などの熱帯病は極度の苦痛を引き起こすと共に,失明や脳損傷,そして最後に死に至るまでの被害をもたらす.熱帯病は熱帯だけに限定されるものではなく,観光旅行,貿易,ビジネス出張,移民などによって先進諸国でも発生するようになっている.
    住血吸虫症は生活に欠かせない水との接触によって感染するためにその撲滅は容易ではない.ダムや灌漑などの水源開発に伴って流行地が拡大していることも問題となっている.発展途上国では2億人が感染し,6億人が感染の危険にさらされている.国際協力事業団の感染症対策プロジェクト(ケニア)と灌漑農業振興プロジェクト(ガーナ)で行った住血吸虫症の調査および対策を紹介する.

  • 1999年8月21日(土)-22日(日)日本島嶼学会1999年次大会
    鹿児島大学稲盛会館にて 日本島嶼学会の会告

  • 1999年6月14日(月)第8回多島研センター研究会
    食料資源としての鯨の利用:鯨を巡る異文化戦争
    守矢 哲(日本捕鯨協会

    [要旨] 日本人を含め多くの民族が、鯨を重要な食料資源として利用してきた。
    最近年次になり、一部の環境保護団体とこれと利害関係を一にする人々が、“鯨は特別な動物であり食べてはならない”、“捕鯨は環境を破壊する”等として、捕鯨の禁止を求める国際的な圧力を強めてきている。
    このような主張をする人々や国は、動物性食料源としての海洋水産資源に多くを依存せず畜肉等を利用している。彼等の主張は、他国の食生活を含む生活文化・伝統を無視して、自分達の生活様式、環境と人間とのかかわり方を他民族に押し付けようとしているものである。
    世界人口は、急激に増加しており、今後、動物性食品に対する需要が増大するが、陸上生産には種々の問題が生じており、海洋生物資源を有効に活用していかなければならない。過度の鯨類資源保護により、海洋生態系が歪められている。
    捕鯨問題は、単に鯨を食料資源として利用して良いかどうかの問題ではなく、人間が環境を保全しながら持続的に生物資源を利用して行く問題、また日本人にとっては生き方と文化の問題である。
    日本は、鯨に関する国際的な資源管理機関である国際捕鯨委員会(IWC)を通じて、21世紀に向けて自然とどのように共生して行くかの戦いをしている。

  • 1999年5月10日(月)第7回多島研センター研究会
    ミクロネシアのマングローブ林とその立地の形成
    宮城豊彦(東北学院大学

    [要旨] ミクロネシアの島々に発達するマングローブ林は、旧大陸型マングローブの分布縁辺にあたり、種構成の点では、フィリピンに近いパラオで29種、グアム、ポナペ、コスラエで15種、サイパン、マーシャルでは10種以下と種数を減じている。しかし、隔絶された島々が多様な特性を有し、大河川が存在しないことなど立地環境特性に対応して、多彩なマングローブ林が成立して変化に富む。サンゴ礁とマングローブ林とが、いわば共生している点でも興味深い。立地の形成・維持という観点では海面変動の歴史の中で、東南アジアのそれとほぼ同一の発達過程をたどってきたようである。ミクロネシアの林は、比較的良好に維持されている点も興味深い。本報告では、東南アジアのマングローブ林と比較しながら、上記について報告したい。

  • 1999年3月18日(木)第6回多島研センター研究会
    Advanced Information Technology at the Centers for Disease Control
    Joseph A. Reid(Centers for Disease Control

    [要旨] CDC is the lead Public Health agency in the United States and is a major contributor to Public Health efforts world-wide. Information is the life blood of CDC and advanced information technologies can make the difference between life and death. This talk will present a general overview of the information infrastructure at CDC and focus on a few sample applications of information technology; photographic image data management using the internet, management of data for human serum and tissue cryogenic stroage banks, secure internet transfoer of sensitive data, and the establishment ofa national network in response to bioterrorism.

  • 1999年3月8日(月)第5回多島研センター研究会
    琉球の海域史研究―サンゴ礁海域の資源と交易
    真栄平房昭(神戸女学院大学

    [要旨] 本報告の趣旨は、亜熱帯のサンゴ礁に囲まれた島々に生きる人々の生活と海の資源をめぐる歴史について、貿易史研究の立場から若干の検討を試みることにある。すなわち具体的には、黒潮に洗われる琉球諸島の海産物貿易という問題に焦点をしぼり、貿易動向の一端を史料に即して明らかにしてみたいが、その問題関心の根底には、次のような意図を含んでいる。東南アジア地域から中継貿易品として琉球を通過した香料・蘇木・象牙などの「異産珍宝」とはちがって、「海産物」は海に囲まれた琉球にとって、自然環境に根ざしたいわば内在的資源である。
    したがって、海産物貿易の歴史的実態を明らかにすることは亜熱帯海域の環境が外部の交易ネットワークとどのように連動していたのか、つまり海洋資源の採取・交易をめぐって展開する<人間>と<自然>の歴史的関係を考える上でも重要なてがかりを与えてくれるのではないか。
    このような問題関心をふまえて、まず『歴代宝案』等の史料からヤコウガイ(螺殻)やタカラガイ(海巴)など暖海に生息する貝の輸出を取り上げる。

  • 1999年2月8日(月)第4回多島研センター研究会
    インドネシアの辺地漁村調査から
    重見之雄 (吉備国際大学)
    16時30分 多島研会議室

    [要旨] 国全体としての漁獲高や従業者数ともに増加傾向にある。しかし漁村について共通的に漁港などのインフラ整備、漁獲物の加工整備の立ち遅れが目立つ。
    海外科研および学振の支援事業によって現地調査したもので、スラウェシ島北部のケマ3.のマキ網漁村、ゴロンタロ市に近いポヘ、そこから西へ約100km の水上漁村のバジョ、およびセラム島のナマコ養殖漁村のコタニアなどについて報告する。

  • 1999年1月11日(月)第3回多島研センター研究会
    南太平洋(特にサモア)におけるフィラリア症とその対策
    木村英作(愛知医科大学
    16時30分 多島研会議室

    [要旨] 南太平洋の島々にはバンクロフト糸状虫と呼ばれる寄生虫が広く分布している。この寄生虫は蚊によって媒介され、人のフィラリア症を引き起こす。流行の背景(寄生虫、媒介蚊、人々の生活、自然など)について解説する。また、サモアでは1982年以来フィラリア症対策が進んでおり、最近では症状を持っている人がほとんど見られなくなった。具体的にどのような対策がとられてきたのか、将来的にフィラリア症の撲滅は可能なのかなどの点についても考察する。





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