国際島嶼教育研究センター
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太平洋における人と自然の共生
People and nature in the Pacific Islands

南太平洋島嶼国にみられる伝統的社会における人と自然の共生システム

人 漁2 木

 伝統的な社会では「人と自然は共生関係」にあり健全な自然環境や社会経済システムを維持してきた。しかし、近代化に伴う人間活動は環境汚染を拡大し生物多様性の低下も引き起こしている。フィジー諸島共和国は南太平洋随一の観光地である反面、一次産業主体の国である。沿岸域の村落の約6割は自給自足経済を維持し、共同体的土地所有制度を持っており、現在も伝統的社会経済システムを維持している。また、フィジー社会全体にとっては海洋環境を利用した海洋娯楽産業は外貨獲得のためには重要な産業になっている。産業発展のためには、海外からの資本や国家政策による沿岸域の開発が必要不可欠である反面、生物多様性や資源量の低下を招き、自然と共生する伝統的社会経済システムにも大きな影響を与えている。

 一方、南太平洋島嶼国経済は、狭隘性、閉鎖性、遠隔性を特徴とする。これは産業資本にとっては、比較的小規模な市場、高い取引費用を意味する。また、この地域に多発する自然災害(例えばサイクロン)はさらなる取引費用の高騰につながる。よって同じ発展途上地域の東南アジアにおいて外資が経済構造の主要な規定要因となっている状況とは対照的に、投資に対する効果がこの地域において十分に刺激されることはなかった。しかし、このことは逆に、住民の経済構造を管理する主導の発動を可能にしてきたともいえる。

 そこで本研究では、自然を海洋環境に限定し閉鎖的かつ伝統的社会が残る南太平洋島嶼国の半農半漁村をモデル地域とし、
1) 当該社会経済システムを構成する要素に関わる収支を貨幣タームとして換算すること、
2) 伝統社会における人と自然の共生システムのモデル構築すること、
3) 島嶼域における自然共生型社会経済システムの構造と機能を解明すること
を目的とする。






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